1: 3倍理論 ★ 2018/06/28(木) 11:40:26.41 ID:CAP_USER9

日々熱戦が続くワールドカップ(W杯)2018ロシア大会。強豪国やスター選手が思わぬ苦戦を強いられたかと思いきや、「西野ジャパン」は初戦のコロンビア戦で大金星。第2戦セネガル戦でも引き分けるなど、世界を驚かせる「番狂わせ」が多発してる。今年のW杯は例年にない盛り上がりになりそうだ。
「大げさではなく、ナイキが今年のW杯全体をドラマティックにしている、面白くしているという気がします」
サッカー・スパイクを語りだすと止まらないカリスマ「スパイク博士」こと、Futaba SOCCER WORLDの副店長、高橋竜也氏はこう語る。
熾烈を極めるサッカーW杯。その足元にある「もうひとつの知られざる戦い」を、自身もFW選手であり、今日も店頭でスパイク市場の最前線に立つ博士に解説してもらった。

「結果を出させる靴」と「履かせ込む力」

「ナイキのサッカー・スパイク市場でのポジションは?」と聞かれれば、「断然トップ」と答えると思います。今回のワールドカップの全出場選手のうち、63%がナイキのスパイクを採用しており、圧倒的な存在と言えます。

日本では暫定的に2位のアディダスと拮抗することがあっても、年間を通じれば3~4割の販売シェアで1位を維持しています。日本のサッカー・スパイク市場のプレーヤーはナイキ以外に4社ほどありますが、ナイキが圧倒していて、まさに「1強」状態と言えます。

日本の代表選手では、代表メンバー23人中、長友佑都選手、山口蛍選手、昌子源選手、酒井宏樹選手、遠藤航選手など4、5人の選手が着用しています。また、今回は惜しくも選ばれませんでしたが、予選で活躍したドイツの浅野拓磨選手やスペインの井手口陽介選手も愛用しています。

ナイキの強さの要因は、そのプロモーションや革新的なものづくりのスケールにあります。ナイキは現在、他社がまったく追いつけないレベルにあると言っていいでしょう。

特にここ10年ぐらいの間、右肩上がりにシェアを伸ばしてきたと実感しています。なぜそれほどまでに選手に浸透してきたのか。ナイキのスパイクのいちばんの強みは、そのコンセプトにあると思います。

それは、「結果を出させる靴」「試合を決定づけるスパイク」であるということ。このコンセプトがさまざまな面でハッキリと具現化されていることが、ナイキの強みだと思います。

今大会、「ナイキのスパイク」が大暴れ

先日のE組グループリーグ「ブラジル×コスタリカ」戦では、序盤からコスタリカが組織力を発揮して善戦、王者ブラジルはずっと攻めあぐねていました。しかし後半6分のアディショナルタイム、最後の土壇場で、ブラジルのネイマール選手とコウチーニョ選手が劇的ゴールを次々と決めて勝利を収めました。このふたりが履いていたスパイクは、いずれもナイキ。まさに、ナイキのスパイクが試合を決定づけた瞬間だったと思います。

また、D組の「アルゼンチン×クロアチア」戦。メッシ選手率いるアルゼンチンが0対3で負けるという驚きの試合結果をもたらしたシュートを放ったモドリッチ選手が履いていたのも、ナイキでした。衝撃的なシーンでナイキのスパイクが活躍していることが多いのです。これまでのW杯を見ていると、大げさではなく、ナイキのスパイクが、試合をドラマティックにしている、面白くしているという気がします。

コウチーニョ選手は若い選手ですが、ブラジルではこれからブレーク必至と目されている選手。ナイキはそういった、“勝利を左右しそうな選手”にいち早く目をつけていく力に長けています。実際、クリスティアーノ・ロナウド選手やネイマール選手などもナイキを採用しています。

ただ、目を付けただけでは実際に履いてくれるとは限らない。ナイキ創業者の自伝『SHOE DOG』にも書かれているように、何よりナイキはアスリートに「着たい」「履きたい」「持ちたい」と思わせるのがうまい。私はこれを、「履かせ込む力」と呼んでいます。

その理由のひとつに、「俺も(NIKE契約選手の代名詞になった)マイケル・ジョーダンみたいになりたい!」と思わせるブランド力があると思います。私たちにとってもそうですが、サッカー選手にとっても、ナイキは断トツで「カッコいい」ブランドなのです。

サッカー小僧というのは、子どもでも選手でも、 “カッコいい”ものを「持ちたい」「履きたい」という気持ちが強いんですね。ナイキは選手たちにとって、つねにカッコよさを提供してくれる圧倒的なブランドなのだと思います。

このナイキのスパイクのブランド価値を創り出しているのは、やはりあのデザインでしょう。デザインの可能性を最大限に引き出すナイキのロゴ、スウッシュがいいんですね。『SHOE DOG』には、スウッシュが生まれた背景や考え方などがよく描かれていています。「実は学生が考えた」などカルトな話も満載で、私にはその一つひとつがたいへんツボにはまりました。 

他のメーカーではロゴは必ずしもすべてのスパイクシューズに入っているわけではないのですが、スウッシュはナイキのシューズに必ず入っている。小さくなったり大きくなったり変幻自在で、デザインの可変性が高く保たれています。シューズのフォルム・デザインの構築がしやすいロゴなのでしょう。

ナイキのスパイクは、スウッシュをどんなふうに入れても、必ずデザインとしてカッコよく成立させているのがすごいところだと思います。トータルで、人を魅き付ける力があるんですよね。

「履かせ込む力」のもうひとつは、独創的な先端テクノロジーや設計思想に裏打ちされた、商品を届けるストーリーの上手さにあると思います。商品の企画開発力です。

ナイキのサッカー・スパイクは、選手のプレースタイルによって大きく4つに分かれています。それぞれ、【マジスタ】【マーキュリアル】【ハイパーヴェノム】【ティエンポ】というカテゴリーです。ここに、ナイキのイノベーティブさが体現されていると思います。

これはナイキが7~8年くらい前に業界で先駆けて始めたことで、今では他メーカーも追随しています。この4つには、それぞれグローバル共通の「わかりやすいキャッチフレーズ」がついていて、選手は誰でも、この4つのプレースタイルから、自分に合ったスパイクを選べる。どんなスタイルにも対応できる。自分の得意なプレー、自分をいちばん表現できるプレースタイルを、より活かすことができるのです。

360度のボールコントロール【マジスタ】

【マジスタ】は、360度ボールコントロールしやすいスパイク。有名なところでは、Jリーグ・ヴィッセル神戸移籍で話題のスペインのイニエスタ選手が着用しています。どんな角度でどんなタイミングでボールがこようと、足に吸い付くようにコントロールできる。

アウトソール(シューズの接地面にあたる部分)のポイントが円を描くように配置されていて、これにより360度の動きを可能にする作りになっています。イニエスタ選手によく見られる、クルッと回転するような動きは、このスパイクのおかげも大きいと思います。

スピードキング【マーキュリアル】

【マーキュリアル】は、爆発的なスピードを生むスパイクです。今のところ、今回のW杯でいちばん得点を獲っているスパイクは、実はこの【マーキュリアル】なのです。

着用している代表的な選手は、ブラジルのネイマール選手やポルトガルのクリスティアーノ・ロナウド選手。とにかく、足の速い選手を活かすスパイクです。縦に速く走りやすく、瞬時の駆け引きで相手を抜き去る動きを実現します。

普通、靴底のソールプレートは前から後ろまで同じ素材でつながっているのですが、【マーキュリアル】がユニークなのは、靴底が前後で、ソールプレートが分かれているところです。前と後ろの間の中足部に異素材を入れることで前足部から屈曲しやすくなっていて、前(前足部)から走り出しやすい作りになっています。このセパレートでアウトソールを作るというのは、業界初の革新的な試みです。

日本代表では、長友選手が【マーキュリアル】を愛用しています。ワールドカップでも見られる長友選手の、敵を窮地に陥れるあのオーバーラップには、この【マーキュリアル】が欠かせないのです。俊敏に速く走れると同時に、走り出すタイミングが計りやすく、反応を速くできるので、「判断をサポートするスパイク」とも言えると思います。

また、アッパー(足の甲を覆う部分)全体を、NIKE独自の革新的テクノロジーである「フライニット」という素材が覆っていることで、「素足のまま走っているような感覚」でプレーできる。長友選手がディフェンスに一目散に走っていくあの姿を支えているのは、このスパイクの強烈な個性なのです。


ネイマール選手も長友選手も同じ【マーキュリアル】を履いていますが、足首が非常に柔らかくてドリブルやタッチが得意なネイマール選手は、足入れを低くカットしたローカットの【マーキュリアル】を履いています。一方の長友選手は、直線的な走り出しがしやすいよう足首までフライニットで固定されたものを履いている。 

同じ【マーキュリアル】でもそうした違いから、改めて選手のプレースタイルに気づかされたりもします。先日のD組「アルゼンチン×クロアチア」戦で、劇的ゴールを決めたモドリッチ選手が履いていたのも、この【マーキュリアル】でした。

「点取り屋」ならこのモデル
点取り屋の御用達【ハイパーヴェノム】

そして【ハイパーヴェノム】は得点を取らせるためのスパイク、ゴールを陥れるスパイクです。

一般にシュートの60%は、インフロントとよばれる「インサイドの前側」で決まるといわれています。【ハイパーヴェノム】はナイキのスパイクの中で唯一、靴紐の位置が外に向いているサイドレースになっていて、レースの内側、インサイドの部分にキック力が伝わりやすいよう、ヒットする場所が高く広くとれるように設計されています。

日本の選手ではドイツで活躍するFW浅野拓磨選手やスペインの井手口陽介選手が、【ハイパーヴェノム】愛用者です。また、先日のA組「ウルグアイ×ロシア」戦で得点を決めたウルグアイの最強FWカバーニ選手も履いています。彼はワンタッチゴーラーと呼ばれ、味方のパスにワンタッチでゴールを決めるのがうまい選手です。
正確なボールタッチを生む【ティエンポ】

最後に【ティエンポ】は、「ボールを止めて蹴る」をしやすくする、ボールタッチを重視したスパイク。

日本代表ではDF昌子源選手、遠藤航選手、世界ではスペイン代表のセルヒオ・ラモス選手など、センターバック、ボランチなどボールをしっかりコントロールしなければならない選手に愛用されています。

ナイキの中では珍しく天然皮革を使っているモデルで、アッパーにカンガルー皮を採用しています。ナイキは『SHOE DOG』にも書かれているとおり、人工的な皮革をアッパーに使うのが得意なメーカーですが、これはあえてカンガルー皮を使っていて、そこが面白い。

カンガルー皮を使うと、非常にしなやかになり、足と一体化するフィット感を実現しやすいのです。はじめ、あまり足に合ってなかったとしても、しだいに足なじみが良くなってきます。この抜群のフィット感が、昌子選手や遠藤選手が得意とする「ボールを止めて蹴る」という動きをしやすくしています。

先日、引き分けに持ち込んだ「日本×セネガル戦」で昌子選手が見せた守備の反応の速さも、この【ティエンポ】の貢献が大きいと思います。

腰裏(かかとの内側の部分)に人工皮革であるマイクロファイバーを採用しており、靴の中で足がずれない。足入れのカッティングが動きやすいローダウンになっていても、「走る」「ボールを止める」「蹴る」が非常にやりやすいのです。

ナイキは、創業者のフィル・ナイト氏が元・陸上競技の選手で、“アスリートのためのシューズ”という定評がありますが、サッカー・スパイクについても徹底的に考えつくされています。アスリート文化が生んだナイキの哲学を、スパイク一つひとつから感じ取ることができます。


グラウンドで選手の最後の味方になるのは、スパイク 

グラウンドで選手の最後の味方になってくれるのは、スパイクだと思っています。先述の「ブラジル×コスタリカ」の試合でも、疲労が限界まできている最後の2分間、20m以上を走り込んだコウチーニョ選手の爆発的なスピードや、ネイマール選手の相手のDFとせめぎ合う中での一瞬をとらえたシュート力。最後の最後まで力を振り絞った選手に、こうして結果を出させるのが、最新テクノロジーと優れたインターフェースを盛り込んだスパイクなのだと思います。

日本時間6月28日夜11時に始まる、日本の決勝トーナメント進出のかかったグループリーグ第3戦「日本×ポーランド」戦も、まさにナイキのスパイク同士の対決が見ものです。前述したように、日本のセンターバック・昌子選手はボールコントロールに優れた【ティエンポ】を履いていますが、日本から最も恐れられているポーランドのFWレヴァンドフスキ選手は、「点取り」に特化した【ハイパーヴェノム】を履いているのです。

レヴァンドフスキ選手は、怖いくらい完璧な万能型FW。どの場所からでも、ゴールさえ見えれば点を取れる選手で、しかもスピードがあってボールコントロールも巧み。さらにはゲームメークもできてフリーキックもうまい。無回転シュートも打てる。そういう選手が【ハイパーヴェノム】を履くと、どれだけ危険になるのか。このレヴァンドフスキ選手を、【ティエンポ】を履いた昌子選手がどう抑えるか、要注目です。

スパイクを知ってサッカーを観ると、めちゃくちゃ面白いんです。この人がこういう動きを、ああいうプレーをしたのって……と足元を見ていくと、「このスパイクか!」みたいなシーンがたくさんあります。スパイクの闘いと思ってW杯を見ると、また違った面白さに出合えると思います。

「世界に勝てるか勝てないかは、スパイクが決める」と言っては言い過ぎかもしれませんが、ぜひ皆さんも、選手の足元にも注目しながら、W杯を楽しんでみてください。

https://toyokeizai.net/articles/-/226902?page=5

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